スーパーマーケットに並んでいる野菜やお米が、どこで、誰の手で育てられているのか。ふだんの暮らしの中で思いを巡らせることは、あまりないかもしれません。
倉敷をはじめ、備中地域の歴史的な町並みや町家を舞台にした「備中で暮らす、町家deクラス」が、今年も開催されています。12年目を迎える今年(2026年)は、町を飛び出して中山間地域で農作業や食事を共にする「種を蒔くプログラム」が新たに始まりました。
この記事では、主催する備中町並みネットワークの中村泰典さんに聞いた、今年のポイントと注目の取り組みを紹介します。
記載されている内容は、2026年11月記事掲載時の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、ご了承ください。
「備中で暮らす、町家deクラス」とは

「備中で暮らす、町家deクラス」は、備中町並みネットワークが主催する、町並み歩きと体験型のプログラムです。国選定の「重要伝統的建造物群保存地区」をはじめ、備中地域に残る歴史的な町並みで、町家や蔵を活用し、江戸・明治・大正・昭和の伝統的な暮らしや楽しみなどを「衣・食・住・学ぶ・遊ぶ」の切り口で体験できます。
2026年は、11月3日(火・祝)から11月29日(日)までの約1カ月間、備中地域の各地で開かれています。
主催の備中町並みネットワークは、2014年に設立されました。
倉敷・矢掛・吹屋など備中地域の町並み保存団体や自治体、岡山県備中県民局などが連携し、歴史的な町並みや町家を未来へ引き継ぐ活動に取り組んでいます。
2026年のプログラム次の4つに分かれています。
- 新企画「種を蒔くプログラム」(全4プログラム)
- 体験型レギュラーイベント(全17プログラム)
- まち歩き/みち歩き(全14コース)
- みち歩き「備中とと道を歩く」(全4コース)


参加方法
一部のプログラムを除き、予約定員制です。
町家deクラスの公式ホームページまたはFAXで申し込みます。参加費は当日、会場で支払ってください。
会場には個人の住宅も含まれます。
無断の撮影やSNSへの投稿、近隣に迷惑をかけないよう気を付けましょう。
備中町並みネットワークの中村泰典さんにインタビュー

主催する備中町並みネットワークの中村泰典さんに、今年のポイントと注目の取り組みについて話を聞きました。
今年のポイントや、これまでとの違いを教えてください。
中村(敬称略)
町家deクラスは毎年、町並みを巡ったり、その町ならではの体験をしたりするイベントを続けてきました。
私たちの世代はほとんどが戦後生まれで「戦前の町の暮らしを本当に知っているのか、受け継いでいるのか」というところから始まりました。ただ、それが今の若い人たちにうまく引き継がれているかというと、実はそうでもないというのが現状です。
今、多くの人は町に暮らしています。
町は、農業など命に関わるものの生産地ではなく消費地です。それなのに、そのことに目を向けるイベントはしてこなかった。伝えることはやってきたけれど、それでいいのかと考えるようになりました。
そこで始めたのが「種を蒔くプログラム」です。
ヒントになったのは、昨年(2025年)に有漢で行ったプログラムでした。そこでは、ただものを作るだけではなく、自然と関わり、流域全体の山や農地を管理しているということを教えてもらいました。私自身、そこまで十分に分かっていなかったんです。
私たちは移住こそできないけれど、ちょっと遊びに行ったり、手伝ったりできる。種を蒔いて、育てて、実を収穫して、それを食べる。そうすれば関係が持てると考えて、「種を蒔くプログラム」と名前を付けました。
移住や定住はそう簡単ではありません。
そこで観光でも移住でもない、もう1つの道、いわば関係人口の1つの形を提案しています。実際の生産の現場に関わり、自分で土に触れたり、農業をしている人たちと一緒に何かをしたりすることで、交流も生まれると思っています。

今回、注目してほしい取り組みを教えてください。
中村
倉敷でいうと、水島と呼松のまち歩きが初めて入りました。
初めてのところは毎年人気があります。水島はみずしま滞在型環境学習コンソーシアムが案内するので、きっと面白いまち歩きになると思います。

矢掛のまち歩きも、2026年春にオープンしたアウトドアヴィレッジやかげをコースに入れました。古い町並みだけではない姿を見てもらいます。
学校との連携も広がりました。
浅口市金光町の要計庵では、金光学園高等学校の生徒が煎茶道と坊主めくり体験のおもてなしをします。会場は、江戸後期に建てられた書院造の建物がある武家屋敷です。
倉敷市美和の「美和の家 igusa」では、就実大学の学生が、空き家になっていた家を少しきれいにし、いろいろなところを回って古いものを探して、1960年代の暮らしを再現しようとしています。い草に関わっていた家なので、そのストーリーも学生たちが勉強しています。
それから、新しく始めるのが、矢掛のリユースマーケットです。
11月29日(日)に、矢掛で長年使われていない倉庫を借りて、いろいろな人から集めたリユースできる道具を販売します。
町並みを直す時に、例えば瓦が足りないことがあります。
本来なら、そういうものをストックする場所を市や県に持ってもらえればいいのですが、今はほとんどが新しい瓦です。
古い家具や建具も、使える人がいれば安く譲れたらと思っています。また、この倉庫で定期的にマーケットのような催しができればと考えています。

最後に、読者へのメッセージをお願いできますか。
中村
町家deクラスの最初のキーワードは「知らないことは伝えられない」です。
私たちは、受け継ぐ世代になっています。その一員になりませんか。ぜひ体験してください。
おわりに

筆者は今倉敷市の中心部に住んでいますが、田んぼなどの農地は年々少なくなっており「消費地」になってきたと感じています。
これも時代の流れで、農作物などの生産に関わる機会が減るのも仕方ないと思いますが、人が生きていく上で欠かせないものであることは未来永劫変わりません。
備中・高梁川流域エリアは関わりが薄くなったとはいえ、まだ車で1時間以内の距離にあり、町を支える農村などに足を運べるエリアです。
今年の町家deクラスは、町並みを歩き、暮らしを体験するだけでなく、その町を支えてきた農村や流域へと視野を広げています。
11月3日(火・祝)から11月29日(日)までの期間中、気になるプログラムを見つけて、備中の町と農村に足を運んでみてはいかがでしょうか。










































備中で暮らす、町家deクラス
会場:
備中地域の歴史的町並み・町家・農山村地域など
開催期間:
2026年11月3日(火・祝)~11月29日(日)
参加申込方法:
公式ホームページまたはFAXで事前申し込み
※日時、会場、定員、参加費、申込方法などの詳細は、別添プログラムを参照
Webページ:
備中で暮らす、町家deクラス公式ホームページ
https://machiya-class.net/