静かに鑑賞できそうにないけど、美術館に行って大丈夫かな。
幼い子どもがいる、本人や家族に障がいがあるなど、何らかの事情があると美術館に足を運ぶことをためらうかもしれません。
そのような方でも美術館へ足を運び、触れて・作って・おしゃべりする大型ワークショップイベント「なんなんDAYS」が今年も開催されます。
昨年(2025年)から始まり、2年目となった「なんなんDAYS」は何が変わったのでしょうか。
企画・運営を担当する公益財団法人 大原芸術財団の寺元静香さんに聞きました。
記載されている内容は、2026年11月記事掲載時の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、ご了承ください。
「なんなんDAYS~ミュージアムで出会うなんなん?~」とは

なんなんDAYSは、公益財団法人 大原芸術財団が主催する、大原美術館と倉敷考古館の2つのミュージアムを巡りながら、「なんなん?」と感じる気持ちを大切にする2日間のイベントです。2回目となる今年は、2026年11月14日(土)・15日(日)の2日間、大原美術館と倉敷考古館を会場に開かれます。
大原美術館では、2002年から夏の恒例だった「チルドレンズ・アート・ミュージアム」(通称:チルミュ)というイベントがありました。「チルドレンズ」と名付けつつも、その保護者こそターゲットにしていたイベントですが、どうしても子ども向けというイメージが強くあったようです。
「なんなんDAYS」は、赤ちゃんからシニアまで、誰でも参加できて、絵画や彫刻、考古資料、建物などを見て、対話し、ものづくりも楽しめるイベントとして企画したそうです。
会場は大原美術館の本館、工芸・東洋館、児島虎次郎記念館、倉敷考古館、中庭、分館前の芝生広場となっています。

参加方法
「なんなんDAYS」への参加は、大原美術館の入館券を購入した上で、別途なんなんDAYSの受付が必要です。
なんなんDAYSの受付をすると、リストバンドがもらえます。
リストバンドがあれば、当日に限り各館に何度でも出入りできます。なので、実はチケットとして見てもお得なんです(倉敷考古館の入館券も含まれるイメージとなるため)。
倉敷市在住の小・中学生は「いきいきパスポート」の提示で無料になります。また、初めて大原美術館に来た人には、「My First Museum Visitシール」のプレゼントもあります。

さまざまなサポート
なんなんDAYSの当日は、来館者向けのさまざまなサポートも用意されています。
- 筆談ボードやベビーカー・車いすの無料貸し出し
- イヤーマフ(耳当て)やフィジェットトイ(気持ちを落ち着かせるおもちゃ)などの貸し出し
- カームダウンスペース(落ち着く場所)を用意
- 授乳室や救護室あり
- 0歳~6歳を対象にした託児サービス(事前申込制・有料)
大原芸術財団の寺元静香さんにインタビュー

なんなんDAYSを担当する公益財団法人 大原芸術財団の寺元静香さんに、企画の経緯や今年の見どころについて話を聞きました。
なんなんDAYSが企画された経緯を教えてください。
寺元(敬称略)
大原美術館では、2002年から「チルドレンズ・アート・ミュージアム」(通称:チルミュ)という、小さなお子さんとその保護者の方を対象にした、夏の祭典のようなワークショップイベントを開催していました。2020年に新型コロナウイルス感染症の影響で休止し、5年ほどお休みしていたのです。
そろそろ復活させようとなった時、チルミュは十分に育ち、皆さんに愛され、再開を待ち望まれていたという思いもありました。そこで、「チルドレン」にこだわらず、もう少し幅広く体験の機会を届けたいと考えたんです。
「チルドレンズ」だと、大人の方もぜひと言いつつ、どうしても子ども向けで、しかも小学生までのイメージが付いていました。話を聞いてみると「子どもが中学生になったので、もう行かなくなりました」という声もありました。
それに、世の中のミュージアムを見ていくと、ウェルビーイングやアクセシビリティといった取り組みを行っている感じがあります。大原美術館も小さなお子さんからご高齢の方まで広く楽しめる場を作りたいと思い、2025年度から大型ワークショップイベントを新しい形で復活させることにしました。

前回(2025年)を振り返って、今年変えたことを教えてください。
寺元
昨年は、例えば障がいのある当事者に参加していただくことを目指して、さまざまな企画を実施しました。
そのためにいろいろな届け先を増やしましたが、実際は届いていなかったんです。
手話通訳ややさしい日本語の対応をしましたが、手話ややさしい日本語を必要とする方は来られませんでした。カームダウンスペースも置きましたが、本当に必要な方が使っていたかというと、そうではありませんでした。

ただ、カームダウンスペースがあるイベントなんだということが、来られなかったとしても、行こうとした人にとっての安心材料になったり、手話通訳ややさしい日本語があることで、自分たちに関係があるイベントなんだと思ってもらえたりしたらと考えています。
そこで今年は、届け方を頑張っています。その1つがチラシです。
「Uni-Voice(ユニボイス)」というアプリを通すと、こちらが打ち込んだ内容を読み上げてくれるので、視覚障がい者に間違いなく内容を届けられます。チラシの切り込みは、ここにコードがあるという目印です。

また、チラシを郵送する時も、封筒を開けてチラシだと分かると「私たちには関係ないかも」と見てもらえない可能性があります。
そこで、封筒の外側に「託児サービスがあります」「手話通訳があります」といった、当事者の方に向けたシールを貼りました。
開ける前から自分たちに関係があると思ってもらえるような、届ける工夫をしています。
当日のプログラムで注目してほしいことがあれば教えてください。
寺元
昨年も実施した「やさしい日本語ツアー」に、手話通訳を付けます。
昨年は手話通訳付きのギャラリートークを別に行っていましたが、それを合体させました。

また昨年と大きく違うのは、触れる作品を増やしたことです。
工芸・東洋館にある棟方志功の部屋を会場に、作品の近くに触図を置きます。触って「こう彫っているんだ」「ここに鳥がいるんだ」と分かってもらえると思います。
触れるものは昨年より2つ増えました。もちろん、昨年好評だった倉敷考古館の土器パズルもあります。
あと、昨年はツアーがたくさんあって、同時にいろいろ動いていたので、今年は整理しました。やさしい日本語ツアー、工芸・東洋館のツアー、倉敷考古館のなんなんツアーへと続けて参加できるようにしています。

来場者に何を感じてほしいですか。
寺元
タイトルが「なんなんDAYS」なので、美術館でいろいろな気づきや発見をしてほしいです。そして、それを誰かと共有したり、美術館の人やアーティストの方と交流したりして、広げてほしいですね。
昨年も「なんなんパネル」があって、言われてみれば確かにそうだなという疑問が並びました。今年もあります。この2日間で、たくさんの「なんなん?」という問いを持って帰ってほしいです。
ワークショップやツアーに参加して知れたこともあれば、より「なんだろう」と思うことも生まれると思います。「なんなんだこれは一体」という、言葉にならないような体験も持って帰ってもらえたらうれしいです。

最後に、読者へメッセージをお願いします。
寺元
この時期はいろいろなイベントがあると思いますが、ぜひその中の1つとしてなんなんDAYSに来ていただいて、楽しさを持って帰ってもらえたらうれしいです。
なんなんDAYSを振り返る座談会は、今年も開催します。
誰でも参加できるオープンなイベントです。他の美術館がどのようなことをしているかを知れる機会でもあるので、興味のある方はぜひご参加ください。
おわりに

昨年のなんなんDAYSは取材者として参加しましたが、久々に大原美術館でお祭りが開催されている雰囲気に包まれていました。
どちらかと言えば、静かに、マナーを守って過ごすことが求められる美術館で、ワイワイ楽しめるのは面白いなと感じましたが、昨年の課題なども踏まえて今年はさらに改善されているようです。
赤ちゃんからシニアまで、それぞれの「なんなん?」を見つけに、11月14日(土)・15日(日)は大原美術館と倉敷考古館へ足を運んでみてはいかがでしょうか。
また、11月23日(月・祝)には、寺元さんも登壇してなんなんDAYSを振り返る座談会が、大原美術館 児島虎次郎記念館のレクチャールームで開かれます。参加は無料(先着40人・要申込)で、手話通訳と日本語字幕が付き、後日アーカイブ動画も公開されます。










































なんなんDAYS~ミュージアムで出会うなんなん?~
住所:
岡山県倉敷市中央1-1-15
大原美術館(全館)、倉敷考古館
開催日時:
2026年11月14日(土)、15日(日)
午前9時~午後5時(最終入館 午後4時30分)
料金:
一般:2,000円
小・中・高校生(18歳未満の方):500円
小学生以下:無料
託児サービスについて:
各日とも午前・午後の2部制です。
【午前の部】午前10時~午後1時
【午後の部】午後1時~午後4時
【定員】
各回10人
【対象年齢】
0歳~6歳(未就学児)
【利用料金(1回あたり)】
0歳~1歳:2,000円
2歳~6歳:1,000円
【申込方法】
事前申込制
申込フォームはこちら:https://forms.gle/utbjbeaKkAvNozHo8
※受付期間は2026年11月6日(金)まで
Webページ:
なんなんDAYS特設サイト
https://project.ohara.or.jp/nannandays